おめでとうなんて、そんな甘い囁きはいらないから。
Our Song
「歩ー。今日の夕飯、何?」
「カレーライス」
「…なんかその名称の上に、"すぺしゃる"とか"○○風"とかって付かんの?」
「付かない。カレーだ、カレー。何か文句あるか?」
「いけずぅー」
「誰がいけずだ。文句あるなら自分で作れ」
「いーやーや。俺が作るより、歩が作った方が断然美味いもん」
「お褒めに預かり光栄だな。でも、俺が作る料理は"爽やかでヘルシーで"、物足りないんじゃなかったのか?」
「…そ、それはこってりしたもんが食いたい時だけやて!カロリー大量消費時とかっ」
「じゃあ、今日はただのカレーでもいいんだな」
「まあ…歩の作るもんなら」
文句なくすっごく美味いんやろうし。
「褒めても何も出ないぞ」
「夕飯は出るんやろ?」
「ついでに飲み物とデザートもな」
「…今更やけど、毎日"でざーと"て…ほんまにマメやなあ。嫁さんに欲しいわ」
「…と、思ったけどデザートは抜きで」
「!ちょ、ちょい待ちぃ!; いる!! デザート要るてっ!」
「必死になるな」
「なるわっ!歩のデザートが食えんかったら、一日は始まらないようなもんなんやで?!」
「何でだよ。お前の一日は何処から始まってるんだ」
「だからー、歩のー」
「わかった。もういい。食わせてやるからおとなしくしてろ」
「さっきから椅子に座っておとなしく待っとるやん」
「その口もおとなしくしててくれ」
「だったら塞ぐもの早く持ってきてーな」
「……食ってる間もうるさいくせに」
「♪」
何でもない、日常なのです。それは。
特別なことは何も起こらず、家族のように会話を交わして、一緒にご飯を食べて、暮らしを過ごして。
「火澄。そこの棚から皿出してくれ」
「はーい」
特別なことは、何もないのです。
それでも いま、この心はとても楽しくて、鮮明で、穏やかで。
「デザートはケーキがええなあ」
「ケーキ?…無茶言うな。って言うかもっと早く言え」
「今から作ってくれへんの?」
「コンビニで買って来い」
記念日は毎日のようなもの。
毎日が、おめでとう。
日常だけど、特別なことなんて何もないけど、その当たり前に過ごせる時間こそが奇跡で。
すべては、とても簡単なこと。
きみが、すぐ傍で笑っていてくれることが、こんなにも。
「何にやついてんだ」
「んー?カレー、楽しみやなあ思うて」
「……今日のデザートはお前の好きな、ブルーベリーヨーグルト風味のクリームシューだぞ」
「! ほんまにーっ?」
その何でもない日常こそが何よりのプレゼントだと言ったら、君は笑うでしょうか?
……Happy Birthday !!
BACK
- Thanks!
-
というわけで、2人のカレー記念日でしたーv(←引っ張るし)
自然な2人の会話がほのぼのしてて幸せで涙が出そうなくらい嬉しい話です。
いいですよねー…なんだか無自覚にラブラブ?(笑)
このちょっと新婚さん風味な空気はホント、何よりのプレゼントです。こんなに人を幸せにできる文章が書けるのは、本当に羨ましい限りです。
しかし度肝を抜かれました。真面目に。砂音様に誕生日祝われるなんて身に余りすぎる光栄;; こんなに幸せでいいのでしょうか…そのうち何か罰が当たるんじゃなかろうかとびくびくしてます(笑)