『 融化チョコレート 』
Dearka & Kira
「へーぇ?」
「うわ…何その笑顔」
「結構貰ってるんだな」
「義理でね」
机に載っている箱の小山。いくつかは包装が解かれ、中身がいくつか消えている。
「ひとつずつ片付けたら?」
「一種類だと厭きちゃうんだ」
ディアッカはトリュフをひとつ摘んで口に放り込む。市販のそれは甘く口の中で融けた。
「自分の分は?」
「まぁ気が向いたら食べるさ」
「人の摘んでないで自分の食べないと」
「人の物の方が美味そうに見えるんだよな」
「いいけど…」
僕は助かるし、とまた別の包装をキラは解いていく。
「お前いくつ開ける気だよ」
「んー…」
ディアッカが摘んだトリュフの他にも、安物のミルクチョコ、ホワイトの生チョコ、キスチョコにチロルなんてバリエーションは多々。
次に開いた箱には、ウィスキーボンボンが入っていた。
「キラ向けじゃないな」
「どうせお子様ですよーだ」
酒瓶を模した銀紙を剥がして口の中で噛み砕けば、ひんやりとした液体が舌に沁みる。
「イザークって、生チョコのホワイトって感じだよね」
「お前はミルクチョコだな」
まろやかな甘さと子供っぽさを指して。
意味を正確に解して、キラが脹れる。
「じゃあディアッカはラムボール」
「ラムボール?」
「甘くて柔らかくて美味しいかと思いきや実はお酒入り」
さては気付かず食べて後で効いたか、と笑う。
ウイスキーの風味の残る口の中に、白い生チョコを含んでみた。
舌の上で途端に融け出す独特の甘味が咽返るように喉に絡む。
「口の中で融けちまえばどれも…、って感じだけどな」
「ディアッカが言うとなんかヤラシイかも」
「どーいう意味だ」
「さぁ」
そのまんま?と笑ったキラの口に、ウイスキーボンボンを放り込む。
「う…変な味」
「お子様」
そう茶化して、もうひとつ生チョコを口にしてみた。
何故だかウィスキーより、白いこの甘味の方が余程酔いそうに感じられた。
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