だっていつかは。
でもいつも。
想うことは一緒。
「大変だ」
「はい?」
「アッス君がいなくなると」
またいきなり何を言い出すんだこの人は。
とアッシュが思ったのはユーリ城での彼の定位置、台所。
「だって、ご飯作る人がいない」
えらく深刻に言う事が結局それか。
「スマにとっての俺は家政夫以上の存在にはなれないんすね」
「え、違うヨー」
「じゃあ何?」
「だってアッス君タダじゃん」
「家政婦以下……?」
「冗談だよ。何本気にしてんの」
涙を浮かべそうな勢いで撃沈したアッシュに笑って、スマイルは付け足した。
「あーでもホント、困るよね」
「今度はなんすか?」
「だってサミシイでしょ」
さらりと言われた言葉を反芻して、アッシュは信じられないという眼でスマイルを見る。
「………スマにも温かな血が流れてたんすね」
「やっぱなんかアッス君ボクに失礼だよね」
「気のせいっす」
目を逸らしながらアッシュは小さく笑った。